現代日本に語られる“怪異”を体系的にまとめ上げた一冊、『日本現代怪異事典』。
タイトルの通り、この本は日本各地で語られてきた怪異・都市伝説・学校の怪談・ネット発祥の怪談などを、網羅的に収録した事典です。
紹介した動画です!
https://www.youtube.com/watch?v=msT-r0nWnCU
著者について
著者の朝里樹さんは、1990年生まれの北海道出身。
2014年に法政大学文学部日本文学科を卒業し、現在は公務員として勤務するかたわら、在野研究者として怪異・妖怪の調査と記録を続けています。
既刊には『世界現代怪異事典』(2021年)、『日本現代怪異事典 副読本』(2020年)などがあり、現代の語り伝承をテーマに継続的な出版活動を行っています。
本書の概要
『日本現代怪異事典』は、戦後から21世紀初頭までの日本で語られた怪異約1,000件以上を収録した事典です。
怪談・都市伝説・学校怪談・ネット怪談など、時代やメディアを横断して登場した怪異を整理し、発生地域・関連人物・登場時期・内容の要約などを簡潔に紹介しています。
掲載されている怪異の例としては、
- 「トイレの花子さん」
- 「口裂け女」
- 「人面犬」
- 「ベートーヴェンの肖像画が夜中に光る怪談」
- 「不幸の手紙」
など、誰もが一度は耳にしたことのあるものから、地域限定のもの、近年ネット上で広まった新しい怪異まで幅広く取り上げられています。
編集方針と特徴
本書は“事典”として構成されており、見出し語ごとに短い解説が付されています。
索引も非常に充実しており、五十音順・類似怪異・出没場所・使用凶器・都道府県別索引など、複数の角度から検索できるのが特徴です。
また、各怪異の初出情報や、実際に語られた地域・年代などの出典が丁寧に記載されており、伝承の「変遷」や「定着の過程」を追うこともできます。
関連書籍
本書の刊行後、続編や関連書として以下の書籍も発表されています。
- 『日本現代怪異事典 副読本』(笠間書院、2020年)
…怪異を類型化し、テーマ別にビジュアルで整理した補助的資料集。 - 『世界現代怪異事典』(笠間書院、2021年)
…世界各国で語られる現代怪異をまとめた続編。ギネス登録の“最も古い幽霊”など、海外事例を多数収録。
評価と魅力
読者や研究者からは、以下のような点が高く評価されています。
- 全国の怪異を「データベース的」に整理している点。
- 伝承・都市伝説・ネット怪談の“連続性”を意識した編集方針。
- 怪異を文化資料として扱う真摯な姿勢。
一方で、あくまで「語られた怪異」をまとめたものであり、
科学的な検証や対処法などは目的としていない点には注意が必要です。
それでも、日本における“恐怖のかたち”を時代順に俯瞰できる資料として価値が高く、
研究者・怪談愛好家だけでなく、創作や文化研究に関心のある読者にも読み応えがあります。
まとめ
『日本現代怪異事典』は、現代に生きる私たちが「どんな怪異を怖れてきたのか」を知るための記録集でもあります。
懐かしい学校の怪談から、SNSで拡散した現代の都市伝説まで。
ページをめくるたびに、時代ごとの“恐怖の記憶”が蘇ります。
一家に一冊置いておけば、「あれ、あの話ってどんな怪異だったかな?」という時にすぐ調べられる。
そんな、“怪異の百科事典”と呼ぶにふさわしい一冊です。

