今日は、『歯と爪』(『The Tooth and the Nail』)という本をご紹介します。
紹介した動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=uUh7i1YCZeo書誌情報・著者について
- 書名:The Tooth and the Nail
- 著者:Bill S. Ballinger(1912-1980/アメリカのミステリー作家)
- 出版:初版は1955年に出版されたという記録があります。
- ページ数:約144ページ(ある版での記録)
- 特記事項として、物語の結末部分が「封印」されており、購入者が読まずに返品すれば返金されるというギミックがあった、というレビューがあります。
あらすじ(ネタバレ控えめ)
この本は、2本の物語が交互に語られていく構成になっています。
- Aパート:ある裁判のシーン。誰かが何らかの罪で裁かれているという状況。
- Bパート:主人公と思われる奇術師(マジシャン)リュウと、女性との出会い、そして悲劇が起こるという流れ。
物語の初めには、こんなプロローグがあります:
「…彼は奇術師であった。ただ、早死にしたため、有名な他の人ほどは知られていなかった。だが彼は、名人ですら試みなかった一大奇術をやってのけた。そして第一に、ある殺人犯人に対して復讐を成し遂げた。第二に、彼は殺人を犯した。そして第三に、彼はその謀略工作の中で自分も殺されたのである。」
このように、導入部からミステリアスで重い雰囲気があります。
読み進めると、「この裁判は何の裁判か」「この奇術師リュウの物語は裁判とどう繋がるのか」という謎が提示され続けます。
特徴・魅力・補足
この作品の魅力を整理すると以下の通りです。
- 構成の巧みさ:Aパート(裁判)とBパート(マジシャンと女性の話)を交互に配置し、最後で両者がどう結びつくかが鍵になっています。レビューでも「この2つの物語が融合する時が最高」と述べられています。
- 読者への挑戦/ギミック:結末部分が“封印”されており、「新品のまま読まずに返せば返金」といった帯や仕掛けがあったというエピソードも記録されています。これは読者を“どう読むか”という選択に誘う仕組みとも言えます。
- 古典的ミステリーとしての味わい:1950年代という時代背景、脚本家出身の著者ならではの構成力、語りのテンポなど、今読んでも“古典ミステリー”の魅力が保たれています。
- 読みやすさと引き込まれ感:144ページ程度というボリュームも手頃で、「ちょっと怖くて」「謎を感じて」読み進められる構成です。
こんな方におすすめ
- 本格ミステリーを短めのページで体験したい方。
- 古典の雰囲気・1950年代ミステリーの構成・脚本出身作家の語り口に興味がある方。
-「1冊で2つの物語が交差する」構造の謎解きに惹かれる方。 - 読書後に「これはどういう意味だったんだろう」と余韻を楽しみたい方。
まとめ
『歯と爪』(『The Tooth and the Nail』)は、タイトルからも感じる“鋭さ”と、“読み手を選ぶミステリー”という構造が合わさった作品です。
読み始めれば、裁判の章、奇術師の章、交互に進む物語に引き込まれ、最後に両者が結びついた時には「あ、こういうことだったのか」とゾクッとする瞬間があります。
怖さ・謎・読後の余韻、どれも満たしてくれる一冊。もしまだ読んだことがなければ、ぜひチャレンジしてみてください。

