今回紹介する“変な本”は、そのタイトルからしてインパクト抜群の一冊。
『子供が体験するべき50の危険なこと』
(原題:50 Dangerous Things (You Should Let Your Children Do))
安全第一…じゃ、ない!?
子供は危ないことをしちゃいけない。
これは私たちの多くが当たり前に思っている感覚です。
でも、この本はその真逆をいく。タイトル通り、**「子供は危険なことを体験すべきだ!」**と、堂々と提案してきます。
例えばこんな内容が出てきます:
- 車の窓から手を出してみよう
- 電子レンジに変なものを入れて動かしてみよう
- 一人で知らない道を歩いて帰ってみよう
- 目隠しで1時間過ごしてみよう
- 瞬間接着剤で自分の指をくっつけてみよう
- 野宿してみよう
…と、保護者の心臓に悪そうなチャレンジがズラリ並びます。
あえて「危険」に触れさせる意味
本書が言いたいのは、「無茶をしろ」という話ではありません。
危険なことを“体験して学ぶ”という視点の大切さを説いているのです。
日常の中で、“本当に危ないこと”と、“そう見えるだけでコントロールできること”を区別するには、実際にやってみるしかない。
そしてその過程で、子供たちは「自分の身を守る力」や「好奇心」「自立心」を育てていくのだ、と。
ちゃんと“危険度”が書いてある
「子どもにそんなことさせるの!?」と驚いたあなた、ご安心を。
本書には、各チャレンジに“危険度マーク”が付いています。
例えば:
- 「指を瞬間接着剤でくっつけよう」→かなり高リスク
- 「目隠しで過ごそう」→安全だけど不便体験
- 「電子レンジで実験しよう」→実行の際は大人の監視が必要
というように、どれも“安全に危険を体験する方法”として丁寧に書かれているのがポイント。
子育て本か?実験書か?それとも哲学書か?
一見、破天荒に見えるこの本ですが、
読み進めるうちに「これは単なる遊びの提案ではない」と気づかされます。
- 「子供はどこまでを任せるべきか」
- 「過保護と適切な保護の線引きとは?」
- 「経験こそが人を育てるのでは?」
そんな、子育てと教育の本質的な問いにも繋がっていく、哲学的な一冊でもあります。
最後の50個目が最高にいい
ラストのチャレンジ、50番目はこう書かれています。
「何かしよう」
「自分でやってみたいことを考えて、挑戦してみよう」
という、自己決定を促すミッションです。
これがまた秀逸。
ここまで親や本に与えられてきた50のタスクを経て、“自分で考え、選び、実行する”という最も大事な一歩を、最後に促してくれるんです。
注意点も一応あります
もちろん、本書にはしっかりとした免責事項もついています。
「本書の内容を実践した結果について、著者や出版社は責任を負いません」
というやつです
とはいえ、大人が一緒に考え、話しながら取り組めば、これはとても有意義な“人生の練習帳”になります。
まとめ:危ないから、やってみよう。
『子供が体験するべき50の危険なこと』は、
単にスリルを楽しませるだけの本ではありません。
・ 自分の限界を知る
・ 危機をどう回避するかを学ぶ
・ 世界を「自分の足」で確かめる
これらを、“遊び”という形で子供にプレゼントする本なのです。
『子供が体験するべき50の危険なこと』
著:Gever Tulley(ゲイヴァー・タリー)
ジャンル:子育て/教育/実験書
価格:邦訳版あり(中古市場中心)
「やらせてみないと、学ばない」
そんな“信頼”と“自由”のある教育観に共感する方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。